因数分解 (5)

1文字整理による因数分解のしかたを解説します.

整式についての解説は 「展開 (1)」 のページを参照してください.


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● 降べきの順って? ●

じゃあ,  質問です.

 

整式

  \(x^2 + 3a^2 x – 5a^3\)

は何次式ですか.

 

えぇっ?  先頭に \(x^2\) があるから \(2\) 次式?

 

ダメウーマン!

 

それは半分正しく半分誤り.

 

この整式は

\(x^2\),  \(3a^2 x\),  \(-5a^3\)

という \(3\) つの から成っているよね.

 

まず,  これらの 項の次数 を見抜く.

掛けられている文字の個数 (「次数は字数」) だ.

係数 (数字の部分) は関係ない.

 

\(x^2 = \color{red}{x} \cdot \color{red}{x}\)  は \(\color{red}{2}\) の項.

\(3a^2 x = 3 \cdot \color{red}{a} \cdot \color{red}{a} \cdot \color{red}{x}\)  は \(\color{red}{3}\) の項.

\(-5a^3 = -5 \cdot \color{red}{a} \cdot \color{red}{a} \cdot \color{red}{a}\)  も \(\color{red}{3}\) の項.

 

このうち 最高次の項は \(\color{red}{3}\) .

整式の次数とは最高次の項の次数だから,

\(x\) と \(a\) の整式 \(x^2 + 3a^2 x – 5a^3\) は \(\color{red}{3}\) 次式 だ.

 

話はここで終わらない.

 

文字 \(\color{red}{x}\) に着目 して \(a\) を数字扱いすると,

  \(\color{red}{x^2} + 3a^2 \color{red}{x} – 5a^3\)

は \(\color{red}{x}\) \(\color{red}{2}\) 次式.

 

逆に,  文字 \(\color{red}{a}\) に着目 して \(x\) を数字扱いすると,

  \(x^2 + 3x \color{red}{a^2} – 5 \color{red}{a^3}\)

は \(\color{red}{a}\) \(\color{red}{3}\) 次式.

 

このように,  どの文字に着目するかで整式の次数は異なってくる.

 

ところで,  \(\color{red}{x}\) について整理 された

   \(\color{red}{x^2} + 3a^2 \color{red}{x} – 5a^3\)

は右の項ほど \(\color{red}{x}\) の次数が下がっているね.

 

このような項の並び方を \(\large\bf\color{blue}{降べきの順}\) (\(\rm{descending\ order\ of\ powers}\)) という.

 

「べき」 とは漢字で書くと 「\(\large\bf\color{blue}{冪}\)」 (\(\rm{power}\)) で,  累乗のことだよ.

 

ちなみに,  \(x\) がついていない \(-5a^3\) は \(0\) 次で,  定数項というぞ.

 

また,  \(\color{red}{a}\) について整理 された

  \(x^2 + 3x \color{red}{a^2} – 5 \color{red}{a^3}\)

は右の項ほど \(\color{red}{a}\) の次数が上がっているね.

 

このような項の並び方を \(\large\bf\color{blue}{昇べきの順}\) (\(\rm{ascending\ order\ of\ powers}\)) という.


● 1人を主役に ●

日曜 夜の某国民的シーフード系アニメ 『サ〇エさん』.

 

毎回 終わりに 「さーて,  来週の〇ザ〇さんは…」

とか言いながら次回のテーマが発表される.

 

多くのキャラクター (\(\rm{character}\)) が出てくるが,

各テーマは だいたい 「\(\color{red}{1}\) 人が主役」 だ.

 

因数分解に話を戻そう.

 

例えば

  \(a(b^2 – c^2) + b(c^2 – a^2) + c(a^2 – b^2)\)

みたいに文字がたくさん出てくる式.

 

「文字」 も英語で \(\rm{character}\).

 

多くのキャラクターが出てきたら,  \(\color{red}{1}\) 人を主役に.

 

ということで,  \(\color{red}{1}\) 文字 \(\color{red}{a}\) に着目 して降べきの順に整理してみよう.

 

まず \(\color{red}{a}\) に着目.

  \(\color{red}{a}(b^2 – c^2) + b(c^2 – \color{red}{a^2}) + c(\color{red}{a^2} – b^2)\)

 

\(\color{red}{a^2}\) が \(2\) 箇所に分散しているので,

部分的に展開して

  \(\color{red}{a}(b^2 – c^2) + bc^2 – b \color{red}{a^2} + c \color{red}{a^2} – b^2 c\)

 

\(-b \color{red}{a^2}\) と \(+c \color{red}{a^2}\) は 同類項 として扱われるので \(1\) つにまとめる.

  \(-(b-c) \color{red}{a^2} + (b^2 – c^2)\color{red}{a} -b^2 c + bc^2\)

 

\(\color{red}{a}\) を主役にして整理したことによって,

共通因数が見えてくるぞ.

 

係数部分を因数分解して,

  \(-\color{blue}{(b-c)} \color{red}{a^2} + (b+c) \color{blue}{(b-c)} \color{red}{a} – bc \color{blue}{(b-c)}\)

 

共通因数 \(\color{blue}{b-c}\) をくくり出そう.

  \(\color{blue}{(b-c)} \{- \color{red}{a^2} + (b+c) \color{red}{a} – bc\}\)

 

\(\{\ \ \ \ \ \}\) 内のはじめがマイナス (\(-\)) なのが気持ち悪いので,

\(-1\) もくくり出す (\(\{\ \ \ \ \ \}\) 内を逆符号にする).

  \(-(b-c)\{\color{red}{a^2} – (b+c) \color{red}{a} + bc\}\)

 

あとは

  \(\color{red}{a^2} – (2+3)\color{red}{a} + 2 \cdot 3\)

  \(=(\color{red}{a} – 2)(\color{red}{a} – 3)\)

みたいに

  \(\color{red}{a^2} – (b+c)\color{red}{a} + bc\)

  \(=(\color{red}{a} – b)(\color{red}{a} – c)\)

と因数分解できるので, 結果,

  \(-(b-c)(\color{red}{a} – b)(\color{red}{a} – c)\)

 

ここで終わってもいいんだけど,

\(a-c=-(c-a)\) として

  \(-(b-c)(a-b)\{-(c-a)\}\)

 

\((-) \times (-) = (+)\) としてから掛け算の順序変更をして

  \(=(a-b)(b-c)(c-a)\)

とすると見栄えがいい.

  \(a \rightarrow b \rightarrow c \rightarrow a \cdots\)

と文字が循環して式中に現れる書き方を \(\large\bf\color{blue}{輪環の順}\) (\(\rm{cyclic\ order}\)) という.


● 低次の文字に着目 ●

ところで,  \(2\) 文字の式

  \(x^2 + xy – x – y\)

を \(1\) 文字について整理して因数分解するとしたら,

どっちの文字に着目するといいかな?

 

おすすめは,  次数の低いほうの文字 だ.

 

  \(x^2 + xy – x – y\)

は,  \(x\) に着目すると \(2\) 次式,  \(y\) に着目すると \(1\) 次式.

 

そして,  一般に 次数が低い式のほうが因数分解しやすい はずだ.

 

\(\color{red}{y}\) について整理すると

  \((x-1)\color{red}{y} + x^2 -x\)

 

定数項の部分を因数分解すると共通因数がでてきて こんにちは.

  \(\color{blue}{(x-1)} \color{red}{y} + x \color{blue}{(x-1)}\)

 

\(\color{blue}{(x-1)}\) をくくり出せば因数分解完了だ.

  \(\color{blue}{(x-1)} (\color{red}{y} + x)\)


● 係数が単純な文字に着目 ●

例えば

  \(3x^2 + 5xy – 2y^2 – x + 5y -2\)

の因数分解.

 

\(1\) 文字整理で解くとしたら,  \(x\),  \(y\) のどっちに着目しようか.

 

どっちに着目しても \(2\) 次式なので どっちでもいいんだけど,

こういうときは \(\color{red}{2}\) 次の項の係数が単純なほう が おすすめ.

 

\(x^2\) の係数は \(3\),  \(y^2\) の係数は \(-2\) で,

マイナスがつかないほうが単純だよね.

 

そこで \(\color{red}{x}\) に着目 して整理し,  因数分解してみよう.

  \(3 \color{red}{x^2} + 5 \color{red}{x} y – 2y^2 – \color{red}{x} + 5y -2\)

 

\(5y \color{red}{x}\) と \(- \color{red}{x}\) は同類項としてまとめる.

  \(3 \color{red}{x^2} + (5y-1) \color{red}{x} – (2y^2 – 5y + 2)\)

これで \(\color{red}{x}\) の \(2\) 次式として整理したことになる.

 

ここで

  \(3 \color{red}{x^2} + 7 \color{red}{x} – 6 = (3 \color{red}{x} – 2)(\color{red}{x} + 3)\)

のような因数分解を思い出そう.

(参照: 「因数分解 (1)」)

定数項 \(-6\) を \(-2 \cdot 3\) と分解しているのがわかるね.

 

これと同じように,  さっきの式の定数項 \(2y^2 – 5y + 2\) も

\((2y-1)(y-2)\) と分解しておく.

  \(3 \color{red}{x^2} + (5y-1) \color{red}{x} – (2y-1)(y-2)\)

 

そして,  展開すると この式になるものを逆算だ.

 

ちなみに,  いわゆる 「たすき掛け」 の形式で書くと こうだ.

 

したがって,  与式は

  \(\{3 \color{red}{x} – (y-2)\}\{\color{red}{x} + (2y-1)\}\)

 

\(\color{red}{x}\) を特別扱いせずに書くと

  \((3x-y+2)(x+2y-1)\)

これで できあがり.


● 因数分解の手順を確認しよう ●

(参考: 「因数分解 (4)」)

因数分解は

① \(\large\bf\color{blue}{共通因数}\) があればくくり出し,

② 当てはまる \(\large\bf\color{blue}{乗法公式}\) があれば適用する.

③ それでもダメなら次の \(3\) つ.

\(\large\bf\color{blue}{置換}\)  \(\cdots\)  式の一部を \(1\) 文字に置き換える.

\(\large\bf\color{blue}{整理}\)  \(\cdots\)  \(1\) 文字についての式とみて他の文字を係数扱いし,  同類項をまとめる.

\(\large\bf\color{blue}{完成}\)  \(\cdots\)  平方完成して  \((\ \ \ )^2 – (\ \ \ )^2\)  の形をつくる.  または,  立方完成して  \((\ \ \ )^3 \pm (\ \ \ )^3\)  の形をつくる.

いずれかを実行したら ① へ戻る.

 

今回は 「\(\large\bf\color{blue}{整理}\)」 をマスターしよう.

「\(\large\bf\color{blue}{置換}\)」,  「\(\large\bf\color{blue}{完成}\)」 は別ページで解説するよ.

 

なお,  前出の

  \(x^2 + xy – x – y\)

の因数分解は,  はじめから \(\large\bf\color{blue}{共通因数}\) をつくって くくり出してもできるぞ.

 

  \(x^2 + xy – x – y\)

  \(=x \color{red}{(x+y)} – 1 \color{red}{(x+y)}\)

  \(=\color{red}{(x+y)} (x-1)\)


Point <因数分解の手順> ★★★

① \(\large\bf\color{blue}{共通因数}\) (なければつくれ)

➁ \(\large\bf\color{blue}{公式}\)・\(\large\bf\color{blue}{定理}\)(※)

③ \(\large\bf\color{blue}{置換}\)・\(\large\bf\color{blue}{整理}\)・\(\large\bf\color{blue}{完成}\)

(→ ① へ戻る)

原則, 有理数範囲で限界まで.

※ 別ページで解説する 「因数定理」 を指します.


■ 例題 ■ <複雑な式の因数分解>

次の式を因数分解せよ.

\((1)\)  \(x^2 + xy – x – y\)

\((2)\)  \(3x^2 + 5xy – 2y^2 – x + 5y -2\)

\((3)\)  \(a(b^2 – c^2) + b(c^2 – a^2) + c(a^2 – b^2)\)

\((1)\) 専修大 (ネットワーク情報)

\((2)\) 京都産業大

\((3)\) 龍谷大


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■ 解答 ■

\((1)\)

  \(x^2 + x \color{red}{y} – x – \color{red}{y}\)

  \(=(x-1)\color{red}{y} + x^2 -x\)

    (\(\color{red}{y}\) の \(1\) 次式として整理した.)

  \(=\color{blue}{(x-1)} \color{red}{y} + x \color{blue}{(x-1)}\)

  \(=\color{blue}{(x-1)} (\color{red}{y} +x)\)

    (共通因数 \(\color{blue}{x-1}\) をくくり出した.)

  \(=(x-1)(x+y)\)  \(\cdots\) (答)

 

\((2)\)

  \(3 \color{red}{x^2} + 5 \color{red}{x} y – 2y^2 – \color{red}{x} + 5y -2\)

  \(=3 \color{red}{x^2} + (5y-1) \color{red}{x} – (2y^2 – 5y + 2)\)

    (\(\color{red}{x}\) の \(2\) 次式として整理した.)

  \(=3 \color{red}{x^2} + (5y-1) \color{red}{x} – (2y-1)(y-2)\)

  \(=\{3 \color{red}{x} – (y-2)\}\{\color{red}{x} + (2y-1)\}\)

  \(=(3x-y+2)(x+2y-1)\)  \(\cdots\) (答)

 

\((3)\)

  \(\color{red}{a} (b^2 – c^2) + b(c^2 – \color{red}{a^2}) + c(\color{red}{a^2} – b^2)\)

  \(=(b^2 – c^2) \color{red}{a} + bc^2 – b \color{red}{a^2} + c \color{red}{a^2} – b^2 c\)

  \(=-(b-c) \color{red}{a^2} + (b^2 – c^2) \color{red}{a} – b^2 c + bc^2\)

    (\(\color{red}{a}\) の \(2\) 次式として整理した.)

  \(=- \color{blue}{(b-c)} \color{red}{a^2} + (b+c) \color{blue}{(b-c)} \color{red}{a} – bc \color{blue}{(b-c)}\)

  \(=- \color{blue}{(b-c)} \{\color{red}{a^2} – (b+c) \color{red}{a} + bc\}\)

    (共通因数 \(- \color{blue}{(b-c)}\) をくくり出した.)

  \(=- \color{blue}{(b-c)} (\color{red}{a} – b)(\color{red}{a} – c)\)

  \(=-(b-c)(a-b)\{-(c-a)\}\)

  \(=(a-b)(b-c)(c-a)\)  \(\cdots\) (答)


■ 練習 ■ <複雑な式の因数分解>

次の式を因数分解せよ.

\((1)\)  \(x^2 – xy + zx – wx + wy – wz\)

\((2)\)  \(2x^2 + 3xy – 2y^2 – 3x – y +1\)

\((3)\)  \((a+b+c)(ab+bc+ca)-abc\)

\((1)\) 札幌大 (法・経営・文化)

\((2)\) 中央大 (経)

\((3)\) 札幌学院大


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■ 解答 ■

\((1)\)

  \(x^2 – xy + zx – \color{red}{w} x + \color{red}{w} y – \color{red}{w} z\)

  \(=(-x+y-z) \color{red}{w} + x^2 -xy + zx\)

    (\(\color{red}{w}\) の \(1\) 次式として整理した.)

  \(=- \color{blue}{(x-y+z)} \color{red}{w} + x \color{blue}{(x-y+z)}\)

  \(=\color{blue}{(x-y+z)}(- \color{red}{w}+x)\)

    (共通因数 \(\color{blue}{x-y+z}\) をくくり出した.)

  \(=(x-w)(x-y+z)\)  \(\cdots\) (答)

 

\((2)\)

  \(2 \color{red}{x^2} + 3 \color{red}{x} y – 2y^2 – 3 \color{red}{x} – y +1\)

  \(=2 \color{red}{x^2} + (3y-3) \color{red}{x} – (2y^2 + y -1)\)

    (\(\color{red}{x}\) の \(2\) 次式として整理した.)

  \(=2 \color{red}{x^2} + (3y-3) \color{red}{x} – (2y-1)(y+1)\)

  \(=\{2 \color{red}{x} – (y+1)\}\{\color{red}{x} + (2y-1)\}\)

  \(=(2x-y-1)(x+2y-1)\)  \(\cdots\) (答)

 

\((3)\)

  \((\color{red}{a} +b+c)(\color{red}{a} b+bc+c \color{red}{a}) – \color{red}{a} bc\)

  \(=\{\color{red}{a} + (b+c)\} \{(b+c) \color{red}{a} + bc\} – bc \color{red}{a}\)

  \(=(b+c) \color{red}{a^2} + bc \color{red}{a} + (b+c)^2 \color{red}{a} + bc(b+c)\) \(- bc \color{red}{a}\)

  \(=\color{blue}{(b+c)} \color{red}{a^2} + \color{blue}{(b+c)}(b+c) \color{red}{a} + bc\color{blue}{(b+c)}\)

    (\(\color{red}{a}\) の \(2\) 次式として整理した.)

  \(=\color{blue}{(b+c)}\{\color{red}{a^2} + (b+c) \color{red}{a} + bc\}\)

    (共通因数 \(\color{blue}{b+c}\) をくくり出した.)

  \(=(b+c)(\color{red}{a} + b)(\color{red}{a} + c)\)

  \(=(a+b)(b+c)(c+a)\)  \(\cdots\) (答)


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