因数分解 (6)

平方完成や立方完成を利用した因数分解を解説します.


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● 平方完成で因数分解 ●

 \(x^4 – 4\)

 \((\color{teal}{x^2})^2 – \color{magenta}{2}^2\)

と考えて

 \((\color{teal}{x^2} + \color{magenta}{2})(\color{teal}{x^2} – \color{magenta}{2})\)

と因数分解できるね.

 

そう,

 \(\large\color{blue}{A^2 – B^2 = (A+B)(A-B)}\)

で \(\color{blue}{A}=\color{teal}{x^2}\), \(\color{blue}{B}=\color{magenta}{2}\) としている.

 

では, \(x^4 \color{red}{+} 4\) だったらどうだろう?

 

公式に当てはまっとらんやないかい! と思うでしょ?

 

もちろんこのままではダメだが, うまく変形すれば \(\large\color{blue}{A^2 – B^2}\) の形にもっていけるぞ.

 

まず, \(x^4\) と \(+4\) の間に \(\color{red}{+4x^2}\) を補う.

このままでは式そのものが変わってしまうので, \(\color{red}{-4x^2}\) で調節する.

 \(x^4 \color{red}{+ 4x^2} + 4 \ \ \  \color{red}{- 4x^2}\)

足して引けば もとどおり. 温めて冷やせば もとどおり.

(食べて吐いた場合は もとどおりにならないけどね.)

 

\(x^4 + 4x^2 +4\) は \((x^2 + 2)^2\) と部分的に因数分解され,

後ろの \(-4x^2\) は \(-(2x)^2\) と同じなので,

 \(x^4 + 4x^2 + 4 \ \ \ – 4x^2\)

 \(=(x^2 + 2)^2 – (2x)^2\)

となるね.

 

 \(\large\color{blue}{A^2 – B^2 = (A+B)(A-B)}\)

で \(\color{blue}{A}=\color{teal}{x^2 + 2}\), \(\color{blue}{B}=\color{magenta}{2x}\) とすると,

 \((\color{teal}{x^2 + 2})^2 – (\color{magenta}{2x})^2\)

 \(=\{(\color{teal}{x^2 + 2}) + \color{magenta}{2x}\}\{(\color{teal}{x^2 + 2}) – \color{magenta}{2x}\}\)

 \(=(x^2 + 2x + 2)(x^2 – 2x + 2)\)

で完成だ.

 

先ほどの変形 \(x^4 + 4\) に \(+4x^2\) を補って \((x^2 + 2)^2\) を作ったように,

ある式に適当な項を補って \((\ \ \ )^2\) の形を作る式変形を  \(\large\bf\color{blue}{平方完成}\) というぞ.

 

ちなみに, \(x^4\) と \(+ 4\) の間に \(\color{red}{-}4x^2\) を補っても平方完成できるけど \(\cdots\)

 \(=x^4 \color{red}{-} 4x^2 + 4 \ \ \ \color{red}{+} 4x^2\)

 \(=(x^2 – 2)^2 \color{red}{+} (2x)^2\)

となり, \(A^2 – B^2\) の形にならないから因数分解としては失敗だ.

 

必ず \((\ \ \ )^2 – (\ \ \ )^2\) の形ができるように項を補おう.

 

なお, \((\ \ \ )^3\) の形を意図的に作って (言うなれば 「\(\large\bf\color{blue}{立方完成}\)」),

\(A^3 + B^3\) または \(A^3 – B^3\) の因数分解に持ち込む方法もあるんだけど,

非常にレアなので最後におまけとして話そう.


● 因数分解の手順を確認しよう ●

因数分解は

① \(\large\bf\color{blue}{共通因数}\) があればくくり出し,

② 当てはまる \(\large\bf\color{blue}{乗法公式}\) があれば適用する.

③ それでもダメなら次の \(3\) つ.

\(\large\bf\color{blue}{置換}\) \(\cdots\) 式の一部を \(1\) 文字に置き換える.

\(\large\bf\color{blue}{整理}\) \(\cdots\) \(1\) 文字についての式とみて他の文字を係数扱いし, 同類項をまとめる.

\(\large\bf\color{blue}{完成}\) \(\cdots\) 平方完成して \((\ \ \ )^2 – (\ \ \ )^2\) の形をつくる. または, 立方完成して \((\ \ \ )^3 \pm (\ \ \ )^3\) の形をつくる.

いずれかを実行したら ① へ戻る.

 

今回は 「\(\large\bf\color{blue}{完成}\)」 をマスターしよう.

「\(\large\bf\color{blue}{置換}\)」, 「\(\large\bf\color{blue}{整理}\)」 は別ページで解説するよ.

(参考: 「因数分解 (4)」, 「因数分解 (5)」)


Point <因数分解の手順> ★★★

① \(\large\bf\color{blue}{共通因数}\) (なければつくれ.)

➁ \(\large\bf\color{blue}{公式}\)・\(\large\bf\color{blue}{定理}\)(※)

③ \(\large\bf\color{blue}{置換}\)・\(\large\bf\color{blue}{整理}\)・\(\large\bf\color{blue}{完成}\)

(→ ① へ戻る)

原則, 有理数範囲で限界まで.

※ 別ページで解説する 「因数定理」 を指します.


■ 例題 ■ <因数分解 (2次式 / 4次式)>

次の式を因数分解せよ.

\((1)\) \(x^2 – y^2 – z^2 + 2yz\)

\((2)\) \(x^4 + 4\)

\((3)\) \(x^4 – 3 x^2 y^2 + y^4\)

\((1)\)  立教大 (経・法)

\((2)\)  中京大 (経)

\((3)\)  名古屋経済大


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■ 解答 ■

\((1)\)

 \(x^2 – y^2 – z^2 + 2yz\)

 \(=x^2 – (y^2 – 2yz + z^2)\)

 \(=\color{teal}{x}^2 – (\color{magenta}{y-z})^2\)

 \(=\{\color{teal}{x} + (\color{magenta}{y-z})\}\{\color{teal}{x} – (\color{magenta}{y-z})\}\)

 \(=(x+y-z)(x-y+z)\) \(\cdots\) (答)

 

\((2)\)

 \(x^4 + 4\)

 \(=x^4 \color{red}{+ 4x^2} + 4 \ \ \ \color{red}{- 4x^2}\)

 \(=(\color{teal}{x^2 + 2})^2 – (\color{magenta}{2x})^2\)

 \(=\{(\color{teal}{x^2 + 2}) + \color{magenta}{2x}\}\{(\color{teal}{x^2 + 2}) – \color{magenta}{2x}\}\)

 \(=(x^2 + 2x +2)(x^2 – 2x + 2)\) \(\cdots\) (答)

 

\((3)\)

 \(x^4 \color{red}{- 3 x^2 y^2} + y^4\)

 \(=x^4 \color{red}{- 2 x^2 y^2} + y^4 \ \ \ \color{red}{- x^2 y^2}\)

 \(=(\color{teal}{x^2 – y^2})^2 – (\color{magenta}{xy})^2\)

 \(=\{(\color{teal}{x^2 – y^2}) + \color{magenta}{xy}\}\{(\color{teal}{x^2 – y^2}) – \color{magenta}{xy}\}\)

 \(=(x^2 + xy – y^2)(x^2 – xy – y^2)\) \(\cdots\) (答)


■ 練習 ■ <因数分解 (2次式 / 4次式)>

次の式を因数分解せよ.

\((1)\) \(9x^2 – 12xy + 4y^2 – 16\)

\((2)\) \(x^4 + x^2 + 1\)

\((3)\) \(x^4 – 6 x^2 y^2 + y^4\)

\((1)\) 北海道医療大 (歯・薬)


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■ 解答 ■

\((1)\)

 \(9x^2 – 12xy + 4y^2 \ \ \ – 16\)

 \(=(\color{teal}{3x – 2y})^2 – \color{magenta}{4}^2\)

 \(=\{(\color{teal}{3x – 2y}) + \color{magenta}{4}\}\{(\color{teal}{3x – 2y}) – \color{magenta}{4}\}\)

 \(=(3x – 2y + 4)(3x – 2y – 4)\) \(\cdots\) (答)

 

\((2)\)

 \(x^4 \color{red}{+ x^2} + 1\)

 \(=x^4 \color{red}{+ 2x^2} + 1 \ \ \ \color{red}{- x^2}\)

 \(=(\color{teal}{x^2 + 1})^2 – \color{magenta}{x}^2\)

 \(=\{(\color{teal}{x^2 + 1}) + \color{magenta}{x}\}\{(\color{teal}{x^2 + 1}) – \color{magenta}{x}\}\)

 \(=(x^2 + x + 1)(x^2 – x + 1)\) \(\cdots\) (答)

 

\((3)\)

 \(x^4 \color{red}{- 6 x^2 y^2} + y^4\)

 \(=x^4 \color{red}{- 2 x^2 y^2} + y^4 \ \ \ \color{red}{- 4x^2 y^2}\)

 \(=(\color{teal}{x^2 – y^2})^2 – (\color{magenta}{2xy})^2\)

 \(=\{(\color{teal}{x^2 – y^2}) + \color{magenta}{2xy}\}\{(\color{teal}{x^2 – y^2}) – \color{magenta}{2xy}\}\)

 \(=(x^2 + 2xy – y^2)(x^2 – 2xy – y^2)\) \(\cdots\) (答)


● 【発展】 立方完成の例 ●

次のような例は ウナギの産卵シーン くらい珍しい.

よって読み飛ばしても大丈夫.

 

以下では, 因数分解公式

 \(\large\color{blue}{A^3 + B^3}\) \(\large\color{blue}{=(A+B)(A^2 – AB + B^2)}\) \(\cdots\) ①

 \(\large\color{blue}{A^3 – B^3}\) \(\large\color{blue}{=(A-B)(A^2 + AB + B^2)}\) \(\cdots\) ②

を用いるぞ.

 

例 \(1\)

 \(x^3 – 3x^2 + 3x \color{red}{- 2}\)

 \(=x^3 – 3x^2 + 3x \color{red}{- 1 \ \ \ – 1}\)

 \(=(\color{teal}{x-1})^3 – \color{magenta}{1}^3\)

 \(=\{(\color{teal}{x-1}) – \color{magenta}{1}\}\) \(\{(\color{teal}{x-1})^2 + (\color{teal}{x-1}) \cdot \color{magenta}{1} + \color{magenta}{1}^2\}\)

  (② で \(\color{blue}{A}=\color{teal}{x-1}\), \(\color{blue}{B}=\color{magenta}{1}\) とした.)

 \(=(x-2)(x^2 – x + 1)\)

 

展開公式

 \(\large\color{blue}{(a+b)^3}\) \(\large\color{blue}{= a^3 + 3a^2 b + 3ab^2 + b^3}\) \(\cdots\) ③

を覚えているかな? 次で使うぞ.

 

例 \(2\)

 \(a^3 + b^3 + c^3 – 3abc\)

 \(=a^3 \color{red}{+ 3a^2 b + 3ab^2} + b^3 + c^3\) \(\color{red}{- 3a^2 b – 3ab^2} – 3abc\)

 \(=(\color{teal}{a+b})^3 + \color{magenta}{c}^3 – 3ab(a+b+c)\)

  (③ の右辺から左辺への変形をした.

  後ろの \(3\) 項は共通因数 \(-3ab\) をくくり出した.)

 \(=\{(\color{teal}{a+b})+\color{magenta}{c}\}\) \(\{(\color{teal}{a+b})^2 – (\color{teal}{a+b})\color{magenta}{c} + \color{magenta}{c}^2\} – 3ab(a+b+c)\)

  (① で   \(\color{blue}{A}=\color{teal}{a+b}\), \(\color{blue}{B}=\color{magenta}{c}\) とした.)

 \(=(a+b+c)\) \(\{(a+b)^2 – (a+b)c + c^2 – 3ab\}\)

  (\(\large\bf\color{blue}{共通因数}\)  \(a+b+c\)  をくくり出した.)

 \(=(a+b+c)(a^2 + b^2 + c^2 – ab – bc – ca)\)

(参考: 「因数分解 (3)」)


● 【発展】 難しい 「完成」 ●

次のような例は お魚くわえたドラ猫 くらい珍しい.

読み飛ばしてよい.

 

例 \(3\)

 \(x^4 + 9x^2 – 4x + 21\) \(\cdots\) ④

これが

 \((x^2 + a)^2 – (x+b)^2\) (\(a\), \(b\) は定数) \(\cdots\) ⑤

という形に変形できたとする.

 

⑤ を展開したときの \(x^2\) の項は

 \(2ax^2 – x^2\)

 \(=(2a-1)x^2\)

この係数 \(2a-1\) が ④ の\(x^2\) の係数 \(9\) と一致するとすれば,

 \(2a-1=9\)

 \(a = \color{red}{5}\)

 

このとき ⑤ は \((x^2 + \color{red}{5})^2 – (x+b)^2\) となる.

この形を目指して ④ を変形すると,

 \(x^4 \color{red}{+ 9x^2} – 4x \color{red}{+ 21}\)

 \(=x^4 \color{red}{+ 10x^2 – x^2} – 4x \color{red}{+ 25 – 4}\)

 \(=(x^4 + 10x^2 + 25) – (x^2 + 4x + 4)\)

 \(=(\color{teal}{x^2 + 5})^2 – (\color{magenta}{x + 2})^2\)

  (たしかに ⑤ の形になった.)

 \(=\{(\color{teal}{x^2 + 5}) + (\color{magenta}{x + 2})\}\) \(\{(\color{teal}{x^2 + 5}) – (\color{magenta}{x + 2})\}\)

 \(=(x^2 + x + 7)(x^2 – x + 3)\)


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